9月2日 | 高麗屋 | 夏と秋ゆきかふ処見上げけり |
高麗屋 | ほととぎす蕾膨らむ小指ほど | |
高麗屋 | 野分去りむくげ一花しろじろと | |
古苑 | 野分あと台風一過の置き土産 | |
古苑 | いっせいに風におされて稲穂波 | |
古苑 | 浮き袋つけてただよう布袋草 | |
てるみ | 雷の気配に愛犬右左 | |
ふじいさむ | 暑い夏 吃驚台風 長逗留 | |
9月5日 | イチロー | 時差ぼけを させる活躍 アテネから |
イチロー | 花持たせ 負けた振りして 今日も無事 | |
イチロー | 蛙から 景気景気と 励まされ | |
てるみ | 夏ばてか天然ボケか物忘れ | |
古苑 | 台風の風の過ぎるを待つトンボ | |
9月8日 | 博苦 | あの日から待っても虚し虫の声 |
てるみ | 秋近し意味無く虚し空見上げ | |
古苑 | すれ違う隙間に揺れる金魚草 | |
古苑 | ため息の数だけ虚しい秋の空 | |
9月11日 | 博苦 | がんばれと思えど虚し世の定め |
古苑 | 名を呼ばれ振り向く顔や月見草 | |
9月12日 | イチロー | 一億円 忘れましたで 済む政治 |
イチロー | 置き電話 携帯普及に 追いやられ | |
イチロー | ICに 付いて行けない 年となり | |
古苑 | 携帯に何処にいますと聞く携帯 | |
てるみ | 携帯が道案内する時代かな | |
9月12日 | 高麗屋 | 音と間をおいて咲きます遠花火 |
高麗屋 | はつ秋の夜空彩る遠花火 | |
高麗屋 | 主婦一人刺し殺されて稲穂垂る | |
古苑 | 秋雨のつめたき露の肩に落ち | |
てるみ | 町守る夜回りたちも高齢者 | |
9月12日 | 博苦 | 母は言うもう一度観たい風の盆 |
古苑 | 三味線の音がからまる風の盆 | |
9月13日 | 高麗屋 | 風の盆手の反り美しきおみなあり |
高麗屋 | ほととぎす一輪咲くや季を知る | |
高麗屋 | まんじゅしゃげ群れて揺れます庭の隅 | |
古苑 | 問いかけに小首ふりふり釣舟草 | |
古苑 | 水引草結べぬえにしの風に舞う | |
古苑 | 水音や水冷クーラー秋暑し | |
てるみ | 墓参り思い出させる彼岸花 | |
9月14日 | 博苦 | 政治家と官僚会見ウソばかり! |
イチロー | 胸を張り バッチを見せて する汚職 | |
てるみ | まじめさを笑った時代の罰当たり | |
古苑 | まじめさが美徳の時代はいまいずこ | |
9月14日 | 高麗屋 | 裡にある想ひ告げたし白桔梗 |
高麗屋 | 吹き鳴らす事も遥かや鬼灯市 | |
高麗屋 | 初秋の朝白じろし山の宿 | |
てるみ | 目だけが食欲告げる秋の宵 | |
古苑 | 見るだけと心もとない決意をし | |
9月15日 | クロちゃん | 通院で涼しさ味わうビルの影 |
クロちゃん | コンクリの隙間に覗く草の花 | |
てるみ | 温度差を感じさせない肉布団 | |
古苑 | 空の上夏が忘れた雲ひとつ | |
9月18日 | てるみ | 天高く湯煙の中影二つ |
てるみ | 何処より自由求めて彼岸花 | |
古苑 | 秋の日に体あずけて赤とんぼ | |
9月19日 | イチロー | 鎮守様 守る神社の あり地獄 |
イチロー | 職退いて 二人昼寝の 西東 | |
イチロー | 足湯入り 背に冷風の 心地よさ | |
9月19日 | てるみ | 芳香剤構えてはいる長トイレ |
9月24日 | 古苑 | 稲穂揺れ鷺の親子の食事時 |
古苑 | 花の先ブランコのごと赤トンボ | |
古苑 | コスモスや秋アカネ達のカフェテラス | |
9月26日 | イチロー | 産科医は ゴルフばかりが 上手くなり |
イチロー | 素敵です 後は知らない 試着室 | |
イチロー | 縁の下 努力努力で 老いてゆき | |
古苑 | 縁の下 花の咲かない 努力だけ | |
9月26日 | クロちゃん | 愛犬の3回忌参る秋彼岸 |
クロちゃん | ようやくと爽やかさきて彼岸明け | |
てるみ | 老いてゆく愛犬の顔見つめ見て | |
古苑 | 足元で 小さく伸びする 秋日和 | |
9月26日 | 高麗屋 | 大叔母の病む病院に赤まんま |
高麗屋 | 危篤とう報を受けし日鰯雲 | |
てるみ | 病には触れずに笑顔で見舞いする | |
古苑 | 空を突く 救急車の音 あわただし | |
9月29日 | 高麗屋 | 来春に襲名するとう勘九郎 |
てるみ | 磨きかけ雄雄しく育ち頼もしく | |
古苑 | 積み重ね努力のひと舞い艶をまし |